今年も日本からの専門家の派遣に伴い、
そちらの事業の予算で日本で「教材=education material」を作成して持ってきていただけることになった。
今回作成する予定の教材のテーマはハシビロコウに関するもの。
具体的な中身について、こっちのスタッフが日本に派遣されている時に打ち合わせをしてくる手筈が、今年はべリンダとニコラスが行ったときにその時間が忙しくてとれなかった様子で、まず昨年と同じタイプのものでいいかと先方から提案が送られてきた。
僭越ながら「待った」をかける。
現場にいるものとして「え?」という空気を感じ取ったもので。
昨年リクエストしたからといって、今回も同じタイプのものがほしいとは限らない。
テーマや使用状況により、必要な教材は変わってくるのも当然な話。
では、どんな教材がほしいのかリクエストのためのアイディア出しミーティングを仕込んでみた。
ちょうど最近、新たなハシビロコウ生息地近くのコミュニティとの絡みが出てきたこともあり、コミュニティや学校での普及啓発の機会は増えると思われるところ。
大人数相手に「ハシビロコウはこんな鳥」とか、
「この鳥を保護するメリット」とかを説明できる“material”がほしい、という話になる。
が、問題はそこから先。
ではポスターやパンフレットを予算の限り作ってもらおう!
という案に落ち着きそうになる。
僭越ながらこちらにも待ったをかける。
「教材」=materialのニュアンス、
意図するところが日本人とウガンダ人とではけっこう異なる。
この、教材に対するとらえ方の違いには2年間なかなか越えられない壁を感じてきた。
手作り教材がなかなか普及させられなかった理由の一つもコレだと思っている。
あげるのもらうの大好き、の、こちらでは、
教材と言うとかなりバラ捲き用の配布物に発想が偏る。
つまり、モノでつって聞かせる作戦。
でも日本側がイメージするのは普及啓発を実施する時に説明に繰り返し使ってもらえる「小道具」。
教材というのはあくまでどんな状況でどう使うか、という点とセットなので、道具なしで様々な活動をしてきている彼らには発想するスイッチが入りにくいんじゃないかとも思う。
で、配布物以外のアイディアが出ないし、
わたくしがちらっと日本の教材の例を説明してもピンとこないみたいなので、
本日、最終兵器とともに出直した。
とりあえず有無をいわさず、
日本から持ってきて秘蔵していた
「タンチョウ普及啓発教材」を見せる。
タンチョウ実寸大パズルとか
タンチョウの卵実物大(コレ、色白いとベストなんだけど・・・)
からの
ヒナ(生後10日)実物大ぬいぐるみ誕生
(どちらも「日本野鳥の会」発行のもの。)
見せてやらせたら、
おおおおお!こういうことか!
という目の輝き。
100聞は一見にしかず、です。
「ハシビロコウは連れていけないから、実物の姿や大きさがわかるのはいいなあ」
「パペットは見たことあるけど、ウガンダでは作れないからほしいなあ」
とか、少し具体的な意見が出てきた。
それらをまとめて
ハシビロコウのパペットをリクエストしてみることになった。
実現するかどうかは先方の予算次第だ。
でも
あの嘴を実物大で表現できてパクパクさせられたらかなりインパクトがあるだろう。
個人的にもほしいな~・・・。
「あ、比較のためにハゲコウのパペットもリクエストしよう」
・・・それは教材としてはいいけど、さぞかしかわいくないことだろう。
でも、もっと早くこういった教材を見せていれば・・・
とは、思わない。
教材作成について真剣に考えている今がそのタイミングだと思ったから見せた、
それだけのこと。
2年間のんびりやってきて、のんびりし過ぎた時もあったかもしれない。
でもその中で、タイミングによって提案やアイディアへの反応が違うことをずいぶん見てきた。
活動期間も残り少なくなった今、
本当にいろんなことが遠慮なく話し合えるようになって、色々な仕事が急速に動くようになってきた。
多くのものは残せないけど、これでよかったんだと思う。
正直もうちょっと時間があれば、と、思わなくもない。