ちょっと「職種」らしいお仕事もしてみようか、ということで。
普段ガイドなどをしているローカルのボランティアさんをメイン対象に、
「サイフンペーパー ワークショップ」を企画・実施してみた。
図が示す通り、サイフン=サイ糞。
糞の中の未消化の植物の繊維を取り出して、紙にしてしまおうというもの。
東南アジア中心に作られている「ゾウ糞ペーパー」のパクリである。
「ゾウ糞ペーパー」は、作成し販売した収入がアジアゾウ保全のために使用されるといった利益の循環を生んでいるプロダクトだ。
日本の動物園などでは、それを応用したゾウ糞ペーパー作りのプログラムを実施して、
象の生態(繊維がいっぱい残っちゃう消化システムとか)や、野生下で直面している危機などの事実を伝えている。材料には古紙も使うからリサイクルについても考えるきっかけになる。
いろんな点でここでの保全教育に応用できる要素があるので、この手のものを1度紹介してみたかった。
さて。
サイフンペーパーを作るには当然サイ糞を用意し処理するところから始まるわけだが。
このプロセスの実習は省略。
難しくはないけど数日かかるから。
写真をみせて過程の説明だけする。
ボイルによる殺菌もすんではいても、サイ糞(の繊維)を眺める参加者の目つきは訝しげだ。
(でも最終的に素手で扱っていた・・・)
紙づくり実習開始。
お好きな古紙とサイフン繊維を混ぜてミキサーにかけてフンサイ。
これを水の中で漉枠に流し込む。
タオルで水分をとってから、クリップボードに貼り付けて天日干し。
赤道直下の直射日光がこういう時だけは有難い。
みんな次々に漉いていく。
依頼があるとガイドに誰かが出ていかなければならないので、
人が一度に揃うことがないのが悩みでもあるが、
今日は先にやった人が後から来た人にやり方を教えるという流れが自然にできて、いい感じだった。
ただ、紙の分量とかサイフンの割合とか少し変えてもいいのにあまり冒険する者はおらず。
みんな「先生」のやるとおりにやりたがる。
根本的に応用は得意ではないらしい。
で、「作った!紙できた~」
じゃあ、終了。よかったね。
だとお仕事になりませんので
「東南アジアのゾウ糞ペーパー」の事例とか、
「クラフトを組み合わせた環境教育プログラムのいいところ」なんかを説明したり、
意見出しをさせてみたりする。
「クラフトと組み合わせたプログラムのいいところは?」
「売れる! ものを作る技術を学べる!」
「ゾウ糞ペーパープログラムの応用できそうなところは?」
「サイ糞でお金を儲けられる!」
(・・・君らボランティアとはいえ教育担当なんだから売って金にすること以外の回答ももうちょっと期待していたんだが・・・。)
ところで、日本の動物園に研修に行ったことのある飼育員などは、「ゾウ糞ペーパー作り」のプログラムのことは知っている・・・はずなのだが。
そのうちのひとりが今回のサイフンペーパー作りをのぞきに来て
ひとこと
「何で紙をつくるのにわざわざサイ糞を入れるの?」
・・・趣旨、理解されていません。
あるいは完全に忘却の彼方か。
今日の参加者も日が経てばこんなもだろうかと思ってしまうとやや凹む。
ま~日本人対象でやってもそんなもんだろうとは思う。慣れてます。ええ。
それぞれ、自分の作った紙を持って記念撮影。
クラフトプログラムの利点のひとつは、「作ったものを見ることで思い出すきっかけになる」ことだ。
何か印象に残るものがあったらいいなと願う。
楽しかったのは間違いないようだ。
意外なセクションの人も参加してくれたし、
来られなくても興味を持って声をかけてくれた人もけっこういたので、実施してよかったと思う。