8.31.2012

8月25日 色黒ハシビロコウ

1年前に行った「ハシビロコウエコツアー」にリトライ。
同期隊員から「日本から遊びに来る家族が動物好きだから是非」とリクエストがあったので、ついでに他にも希望者を募って総勢6名で行ってきた。

この企画は誘っても大概
「ハシビロコウの何がすごいかわからない」
「動物園で見ればいい」
等のコメントと共に振られる。
だから集まった6名はかなりコアな動物好きかモノ好きかのどちらかと言い切れると思う。
もちろん2度目の私が一番そうだ(そして多分両方だ)。

前回と同じヘンリーに手配を頼んだところ、ツアーの方法にも若干の改善がみられた。

まず、安全管理を意識したらしく。
救命胴衣が配布される。

・・・

私に渡されたやつはベルトがなくて絞められない。
やはりウガンダ水準。
→着てもしょーがないので座布団として活用。

そして何より、
去年気になっていた騒音の問題が解消された。
モーターボートを使うのも湿地に着くまでで、
その後はライセンス持ちのガイドさんとともに現地で待機している小さな手漕ぎボート2艘に乗り換え。

コレはよしよし。


青いシャツの人が今回のガイドさん。
ローカルガイドですって感じがいい味出してます。
ボートが静かにまったり進むので、鳥があまり逃げない。写真も撮りやすい。

のんびり中の顔の白いカモ。
でもちょっとだけ警戒して顔を上げる。

ボートがのんびりすぎて逃げるタイミングを逃したカワセミ。
目がばっちりあう。

湿地は静かなのがいい。


大抵サファリでライオンのいるところには車が固まっているように、
ハシビロコウいるところには先客のボートがいる。

今日もまず他のボートをみつけ、その後ろについて自分らの観察の順番を待つ。
一番早くて確実。


さあハシビロコウウォッチング!

しかし、
一目見てだれからともなく漏れ出した感想。

「・・・色ちょっと黒くないか?」


参考までに:
うちのやつ↑(with ぺりかん)

と、比べると目の前のは全体的に黒っぽいし、
背中の羽の重なり模様も明瞭ではない。

「あれは亜成鳥だから茶色っぽいんだ」
とガイドの説明。
なるほど。若いのか。
色黒ではなく茶色と言い張られる。
よく見ると目も黄色くない。


この「色黒君」はたいへん空腹だったらしく、
落ち着きなく魚を探しながら草むらへと去って行った。
(この写真だと少し反射で白っぽく見える)

日本では「動かない鳥ハシビロコウ」というキャッチフレーズがすっかりおなじみ。
でも
確かに全体的にのんびりした生き物ではあるけれど、率直に申し上げて
・・・奴らけっこう動く。

ガイド曰く
「ハシビロコウはこの湿地にたくさんいるけどシャイなので(←どっかで聞いたような・・・)」
他にも探したけれど今回見られたのはこの1羽だけ。

でも今のところ2回来て空振りなしなのは有難い。


湿地は物理的に大変調査がやりにくいということもあり、ハシビロコウの生態にはハッキリわかっていないことも多い。

ほんとうにシャイで隠れているだけならいいけれど
こっそりここからいなくなっちゃっても、しばらく人間は気が付かないかもしれない。

ハシビロコウはたぶん、そんな生き物のひとつ。

若い個体が見られるのは、どこかでちゃんと繁殖しているサインでもある。
「色黒君」が見られて嬉しかった。

8.27.2012

8月17日 セキュリティ強化

私の住んでいるflatを含め、
うちの配属先の敷地には観光客などが滞在できる宿泊施設が何タイプかあるのだが。

数日前のこと、その一角で盗難事件が発生した。


みなさまが今後ご旅行などされる際に何かの役に立つかもしれないので、かいつまんで状況を説明すると。

被害者はバンダタイプの宿泊施設にとまっていたムズングの女性旅行者2名。
朝、10時のチェックアウトまでの時間、部屋にまとめた荷物を置いて鍵をかけて園内散策を楽しんでいた。
あ帰って来てみたら鍵が「ぶっ壊されて」おり、荷物が散乱。
PCなど電子機器類や現金といった貴重品は軒並み盗られていた。

このエリアには8棟のバンダが並んでいて(↑)、
この時は彼女らのほかにもうひと組、アフリカ人の男性2人組が泊まっていた。

南アフリカから来た旅行者と言っていた彼らは、5泊予約していたのに、
その朝受付が開く前に「やっぱり1泊で帰る」と言ってチェックアウト。

何をどう考えても奴らが怪しいのだが。
コトが発覚した時には既に姿はなく、
チェックイン時に確認した身分証も偽物で追う手立てなし。

ほかの宿泊客が泥棒だなんて誰も疑わない。
手口も完全にプロ。
いろんな情報を総合すると、完全に宿泊客とスタッフの隙をついて動いていることが浮かび上がり、お手上げに近い。
ただ、寝込みを襲ってくる強盗タイプではなかったのがせめてもの救いといえば救い。

当然、補償の交渉やら弁解(主に警備員の)やら警察の現場検証やらをする。
しかし、
何しろウガンダ的に進めるもので
必要以上に煩雑になる。長く待たされるし。
被害者は損失で既にダメージを受けているのに加えてこのウガンダ的手続き進行につきあわざるをえないので、もうSorryとしか言葉のかけようがない。
ある意味では被害そのもの以上にストレスだと思う。

--;

さて
こういった盗難事件が敷地内で生じた以上、私的に即対応せねばならんのが
我が家のセキュリティについて。
盗難のあったBanda型宿泊棟とうちとは場所も違うし、建物の規格も違う(より丈夫)。
とはいえ宿泊施設なんだからうちの両隣に客が泊まる可能性が常にあるわけで。
できる限りあと5か月間、自分もモノも無事なまま過ごしたい。

被害者対応がおちついたころあいを見計らって、ジェームズ君(園長)のオフィスのドアをノック。
頭をかかえて参っているジェームズ君に鍵の改善を要求。
当然、ふたつ返事でOKが出る。

頼みごとをするのにタイミングは重要である。

そんなわけで本日はその作業をしていただいた。
返事から実際の対応までには数日かかったけれど、ウガンダ的にはかなり迅速。
玄関ドアには南京錠をとりつけられるようフックを溶接してもらう。
ついでに、入居時からの懸案だった壊れた寝室のドアのカギも交換してもらう。

溶接作業中、
敷地内パトロールで通りかかった警備員が
「・・・そのflatしかやらないのか?他のにも早くつけろよ」
とつぶやいていく。
被害のあったタイプのBandaからドアの改善の話を進めているようだが、まとめてとなると予算も「まとめて」必要なので、ちょっと進みが鈍い感じらしい。
そんな中で、とりあえずうちを優先してくれたのはとても有難いことだ。

大変頑丈な南京錠をかけられるようになりセキュリティは見るからに強固になる。
中からもかけられるので、夜もこれからは本当に安心して眠れる。
(隣の宿泊者が酔っぱらってうちのドアを間違ってこじ開けようとしてももう無視できる)

しかし、ちょっとだけ気がかりなのは。
南京錠によって、在不在が外から一目瞭然になってしまった。
それに、うちのドアだけ強固だと「中に何があるのかな~」って感じがしなくもない。

総合的にセキュリティは強化されたが、
同時に目をつけられるリスクもあがってしまったような気もする。
少々悩ましい。

8.23.2012

8月15日 今日も病院

本日は患者として病院に行ってきた。


エボラ出血熱発生でウガンダに緊張が走った8月上旬からわたくしも体調を崩しており。


・・・


当然、エボラではない。
(でもマ〇リアは疑ったけど)
現在ウガンダ、たちの悪い風邪が流行中。


発熱→下痢と胃腸障害→咳という、症状としては「典型的ひどい風邪フルコース」。
パブロンとビオフェルミンとバナナとポカリスエットで自宅療養。
数日である程度回復したものの、咳だけが一向に収まる気配がない。
風邪から転じて妙な菌を養っている可能性もあるので、
重い腰をあげることにした。


行き先は先日見学した病院・・・
の前からマタツに乗って、首都。

弊社は関係者に対し、一定水準以上のケアが可能な首都のいくつかの病院を推奨している。
大体が私立病院で、医者がムズング(白人)とかインド人とかの所。

だから先日見学に行ったような地元の病院に行くケースはほとんどない。

今回行った病院は、なかでも医者のムズング(英国系)率が高い。
ウガンダ人の看護士や技師がそれっぽい服装で働いているのに対し、
ムズング医者はシャツとかワンピースとかジーンズ姿で普段着っぽいのであまり医者って感じがしない。
待合室の外側に籐の椅子なんかがおかれたテラスもありムズング仕様でお洒落。
ウガンダに持ち込まれたヨーロッパ。

で、本日の担当医は、たぶん院長とおぼしき紳士なムズングDr。
胸部レントゲンをとることになる。
それと血液検査も。
で、あともう1つ検査、と、ポンと検便用コンテナを渡される。

コレ、そんなに簡単に都合よくサンプルがとれるもんでもない。
かといって以前、これが提出できないので一旦帰ってたら、病状がおさまってしまったというあほらしい経験もある。

取るのもまた来るのも面倒なので、抵抗を試みる。

「今日の分はもうサワヤカに済ませてしまったから明日まで無理だと思う。」

「大丈夫!
そのへんでコーヒー飲んでチョコレート食べればすぐnature is callingだ!
キロ単位で必要なわけじゃないし。」


・・・病人(一応)に刺激物(コーヒー)をすすめていいのか?

しかし数時間以内には薬のひとつももらってとっとと帰路につきたいので、
アドバイスに従うべくカフェを探しに行くことにする。

・・・と、玄関を出た所で、
駐車場わきに都合よく小洒落たカフェを発見。

そこまでトータルケアですかこの病院。

カフェ隣には美容院もある。
どうも、ムズングが快適にウガンダで生活するための必須施設をまとめて運営しちゃっているらしい。
アフリカにヨーロッパを持ち込む。
規模や思惑、形は変わっても
植民地時代からコレの繰り返しとも表現できるか。
(その恩恵にしっかり我々も浸っているんだけど。)


コーヒーはプレス式。

本格的だ。

豆がケニア産とウガンダ産から選べる。

ここはやはりウガンダ在住者として、


確実に美味しいケニア産をチョイス。
(ウガンダのコーヒーは当たり外れが激しい)。



小一時間後、無事サンプルとともに病院に戻る。
検査の結果、特に肺にもお腹にもアヤシイ菌は養っていないようだ。

「咳止めシロップを処方してあげよう。
あとはウイスキーでも飲んどけ。
ブランデーでもジンでもワラジ*でもいいぞ~


冗談とはいえ
病人(一応)に刺激物(アルコール)をすすめていいのか?
(一昔前の体育会系サークルの先輩かアンタは)


処方された咳止めシロップは

パッケージの肺の絵がリアルすぎて気持ち悪いと見せた隊員からまず不評。
色はメロンシロップ的グリーン。

味は予想通り

劇的に気持ち悪いほど甘い。

確かに酒で割ると丁度いい感じかもと思わなくもなく、
アレはあながち無茶なアドバイスでもなかったかもしれない。
(でも朝と昼は原液でいくしかないよな・・・うええ)


*ワラジ=バナナ原料の蒸留酒。癖は少ない。アルコール度数高い。うちでは味醂の代わりに常備。

8.16.2012

8月9日 病院見学

日本から出張でいらした「ウガンダ国担当」の職員さんが、うちを見た後、近所の病院配属の隊員のところへまわるというので、くっついて行ってついでに見学させてもらう。

医療機関に配属の隊員の多くは「5S活動の推進」に関わっている。
Sort, Set, Shine, Standardise, Sustainの5の頭文字をとって5S。
(・・・five esuなんて気取らず、素直に「ごえす」と読んでよし)

整理整頓清掃を自分たちで体系的に行う体制づくりと習慣づけをして、それを維持することで病院内の衛生環境や医療サービスの向上を図っていく、ということらしい。
隊員の活動+弊社プロジェクト(with 専門家)により推進されている。

行動や習慣を変えるよう働きかける活動と言うのは何事本当に大変だが、
日本人とちがって、
生まれてこのかた整理整頓という概念を見たことすらないウガンダ人に体系的にこれをさせていこうってんだからまあ大仕事だ。

各病棟にそれぞれ責任者を置いて5Sを実践しているので、あちこち回る。
病棟ごとに小さな建物に分かれているので、いちいち外出たり入ったり。
1800年代に建てられたふるーい病棟もある。
(古い方がコンクリートいっぱい使っているから丈夫だそうな)

ところで
入院病棟とか産婦人科なんかもふつーに案内されてますけど。
いーのか?
私らが説明受けている隣で
「ひーひーふー」と呼吸して分娩ベッド入りを待っている妊婦さんとかいてますし、
カーテンの向こうからは「今産んでます」という空気がもろに伝わってきておりますが。

なにやら遠目にも若めの男性の外来ばかりでにぎわっている病棟が。
この病院では
毎週「火曜日」と「木曜日」は「割礼*の日」だそうで。
昔は部族や村ごとに儀式に則って実施された割礼も、衛生面の問題やら社会の変化やらで今日では事情も変化してきており、医療機関は「病院での割礼」を推奨する立場をとっているらしい。
もちろん今も伝統的な儀式に則って割礼をする所もあるそうな。興味深い。
(さすがにこーゆうとこは覗きませんて。手術室だしね。一応。)

てな感じで病院内、いろりろな意味でウガンダ色満載。
で、おそらく
悪い方にウガンダっぽいままだと病院内のいたるところがカオスになってしまうのを何とかしようというのが5S活動。
本当に有意義な活動だと思うよ。うん。

ゴミ箱がゴミの種類ごとに色分けされている。
壁に貼ってある説明のラベルも同じ色。
ゴミ箱を置く位置も青いテープで「ゾーニング」。

どこに何を置くかきれいに整理された薬局の薬棚。
ちゃんと「在庫切れ」がわかるようにもしてある。

「誰が見てもどこになにがあるか、どこに何を置くべきかなどがわかる」
ラベルはりや色分けなど、日本じゃ当たり前にみえる工夫もここでは1から指導し、やって見せて、スタッフと一緒に考えていく。

ウガンダ人は本当に整理整頓の習慣がないので、自発的に彼らが動くところまで持っていくのは本当に大変なことだと思う。
ご苦労様

ところで、
よく見ると看護婦さんも制服やベルトの色で色分けされている。
ベルトはおしゃれ?かとも思ったが、
格闘技の黒帯白帯みたいに、役職やランクによって、服の色やベルトの色が違うそうだ。

もちろんこれは5Sによる指導効果


ではなくて、
もともとこうだとか。

上下関係のランクの色分けははじめからきっちりついている所がまた何ともウガンダらしいわ。



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*割礼=大人になる通過儀礼として性器の包皮の一部を切り取ること。