さかのぼること数か月前
メタボな体型に磨きがかかってきた♀ライオン2頭を前に、
「・・・彼女たちは(お腹が)大きくなっている気がするんだけど、妊娠?」
と隣にいたニコラスに問うたところ、
「いや、ただ太ってるだけ。念のためテストしたけど反応もないし。」
とのコメントが返ってきた。
このとき、腹だけでなく乳も張っているような気がしたものだが、
まあ飼育員が違うと言うし。
それに大体、
唯一の雄ライオンであるチボンゲはもう「相当なムゼイ」(=超じいさん)なので繁殖は絶望的。
と、誰もが思っていた。
***
ところが先月中旬、1週間ほど不在にして、職場に戻ってきたところ。
「う~ま~れ~た~!」
しかも1週間ちがいで2頭が立て続けに出産。
・・・ほれみろ。入ってたじゃないか。
「テストは陰性だったんだよ~!なんでだ~!」
って言われてもなあ。
とりあえず、この手のことに関しては
女性の生物としての勘は以外と侮れないもんだな。
(けっこー当たる。)
以後、記録のため数日おきに「大きな仔ネコ」の写真撮影を続けている。
・・・「絵」があるのにこのネタを今まで封じていたのは、
マスコミやおエライさんの「見せろ攻撃」からライオンを守るため職場全体に緘口令が敷かれており、守秘義務があったから。
だけではなくて
産まれたばかりの「仔ネコ」というのは
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で、取材も受けはじめたのでぼちぼち解禁モード。
今日は10日ぶりに記録撮影。
若いほうの雌、Zaraは、オスを一頭出産。
でも、若くて子育ての経験がないのと、出張中に産んじゃったせいか、当初からストレスをためている様子だった。
自分の体で押しつぶしそうになるなど、仔ネコの扱いが非常にぞんざい。
素人目にも
「育児ストレスをかかえた若いお母さん」
そのもの。
案の定、
ある日とうとう仔を噛んでしまい。
こりゃダメだってことで、人工保育に切り替えた。
今は1日3回、飼育員の手でミルクをあげている。
これで人懐こくなってしまうのは当然の結果。
わたくしも撮影のためにケージに入ったところ、
えらいことまとわりつかれる。
ライオンだとわかっちゃいるけど、めんこい。
めんこいけど私のズボンは爪とぎじゃないからね。こら。
(ハゲているところが噛まれたところ)
一方、マダムBizaは3度目の出産ということもあり、自分で2頭の娘をしっかりケア。
出産前はそんなこともなかったのに、
ケージの前を通りかかる飼育員にさえいちいち威嚇。
ちゃんと、仔ネコを守ろうとしている。
でも掃除の時は、声をかけると子供を置いて隣のケージに移動する。
その時が接近撮影のチャンス。
ちゃんと母にしつけられているからライオンの自覚あり。
なれなれしく寄ってこない。
いっちょまえに威嚇もしてくる。
生後1か月ほどだけど、もう立派な歯がある。
・・・でも君たちコムスメの威嚇よりも
隣のケージから注がれているおかあちゃんの「うちの娘になんかしたらただじゃおかない」オーラのほうがハンパなく怖い。
そんな中
「コレがやりたかったんだ~!」
念願の仔ライオンとツーショットが撮れてご満悦のカヨンド。
撮影している私の左手側から殺気の一歩手前の空気が立ち上っている。
Bizaの仔たちは体重4kgほど。1週間の前後があるにせよ、人工飼育のZaraの仔は3kg弱。
元気だけどなかなか体重が増えてこないとか。
飼育員にとっても仔ライオンをひとつき以上育てるのは初めての経験だから、母親への対応も含め試行錯誤で頑張っている。
「仔ネコ」3匹とも元気に育ってほしい。
ちなみに
出産を終えたしたはずのマダムBizaは
依然としてメタボ体型のまま。
・・・これは飼育員が間違うのも無理はない。
(Zaraはちゃんとお腹ひっこみました)