10.31.2012

10月30日 Big Cubs


さかのぼること数か月前

メタボな体型に磨きがかかってきた♀ライオン2頭を前に、
「・・・彼女たちは(お腹が)大きくなっている気がするんだけど、妊娠?」
と隣にいたニコラスに問うたところ、
「いや、ただ太ってるだけ。念のためテストしたけど反応もないし。」
とのコメントが返ってきた。

このとき、腹だけでなく乳も張っているような気がしたものだが、
まあ飼育員が違うと言うし。

それに大体、
唯一の雄ライオンであるチボンゲはもう「相当なムゼイ」(=超じいさん)なので繁殖は絶望的。



と、誰もが思っていた。


***
ところが

先月中旬、1週間ほど不在にして、職場に戻ってきたところ。

「う~ま~れ~た~!」

しかも1週間ちがいで2頭が立て続けに出産。
・・・ほれみろ。入ってたじゃないか。

「テストは陰性だったんだよ~!なんでだ~!」
って言われてもなあ。
とりあえず、この手のことに関しては
女性の生物としての勘は以外と侮れないもんだな。
(けっこー当たる。)


以後、記録のため数日おきに「大きな仔ネコ」の写真撮影を続けている。


・・・「絵」があるのにこのネタを今まで封じていたのは、
マスコミやおエライさんの「見せろ攻撃」からライオンを守るため職場全体に緘口令が敷かれており、守秘義務があったから。

だけではなくて

産まれたばかりの「仔ネコ」というのは正直あまりめんこくない公開するには微妙な顔立ちだったので控えていた。

***
で、取材も受けはじめたのでぼちぼち解禁モード。

今日は10日ぶりに記録撮影。

若いほうの雌、Zaraは、オスを一頭出産。
でも、若くて子育ての経験がないのと、出張中に産んじゃったせいか、当初からストレスをためている様子だった。
自分の体で押しつぶしそうになるなど、仔ネコの扱いが非常にぞんざい。
素人目にも
「育児ストレスをかかえた若いお母さん」
そのもの。

案の定、
ある日とうとう仔を噛んでしまい。
こりゃダメだってことで、人工保育に切り替えた。


今は1日3回、飼育員の手でミルクをあげている。
これで人懐こくなってしまうのは当然の結果。

わたくしも撮影のためにケージに入ったところ、
えらいことまとわりつかれる。
ライオンだとわかっちゃいるけど、めんこい。
めんこいけど私のズボンは爪とぎじゃないからね。こら。
(ハゲているところが噛まれたところ)

一方、マダムBizaは3度目の出産ということもあり、自分で2頭の娘をしっかりケア。
出産前はそんなこともなかったのに、
ケージの前を通りかかる飼育員にさえいちいち威嚇。
ちゃんと、仔ネコを守ろうとしている。

でも掃除の時は、声をかけると子供を置いて隣のケージに移動する。
その時が接近撮影のチャンス。

ちゃんと母にしつけられているからライオンの自覚あり。
なれなれしく寄ってこない。

いっちょまえに威嚇もしてくる。
生後1か月ほどだけど、もう立派な歯がある。

・・・でも君たちコムスメの威嚇よりも
隣のケージから注がれているおかあちゃんの「うちの娘になんかしたらただじゃおかない」オーラのほうがハンパなく怖い。

そんな中

「コレがやりたかったんだ~!」
念願の仔ライオンとツーショットが撮れてご満悦のカヨンド。
撮影している私の左手側から殺気の一歩手前の空気が立ち上っている。

Bizaの仔たちは体重4kgほど。1週間の前後があるにせよ、人工飼育のZaraの仔は3kg弱。
元気だけどなかなか体重が増えてこないとか。
飼育員にとっても仔ライオンをひとつき以上育てるのは初めての経験だから、母親への対応も含め試行錯誤で頑張っている。
「仔ネコ」3匹とも元気に育ってほしい。

ちなみに
出産を終えたしたはずのマダムBizaは
依然としてメタボ体型のまま。
・・・これは飼育員が間違うのも無理はない。
(Zaraはちゃんとお腹ひっこみました)

10.26.2012

10月21日 Nyero Rockの壁画

Mbaleから2時間ほど北上したところにある小さな町、Kumiへ。

ここに今回の旅のメイン「Nyero Rock Paint」がある。

アフリカといえば人類発祥の地でGreat Journey でと、人類学や考古学的にも興味深い(もちろん詳しくはないけど・・・)い土地。
高校の世界史の図説解説に載っていた「ラスコーの壁画」などにときめいた身としては、「ウガンダ古代の壁画」などと聞けば行くしかないでしょう。

ここの壁画の図案がウガンダナショナルミュージアムのシンボルに使われていたり、
1000シル札にプリントされていたり、とウガンダ的にはそれなりに有名。
が、そんなに大量に観光客が来るような場所でもない。
それがまたいい。

 Kumi在住の隊員がガイドさんの手配などをしてくれた。
(その辺に住んでいる農家のおっちゃんとかが兼業)
ガイドさんに従って3つのサイトに分かれている壁画を順番に見ていく。

第一のサイト
太陽やクロコダイル、はしご、などが描かれている。
ガイドさんの頭上左側の円は太陽で
指さしている長いミトコンドリアみたいのがクロコダイル、とか。

・・・絵柄的には、よく言うと抽象画。
ラスコーとは路線が違う、ということにしておこうか。うん。

ガイドさんのお話と解説版を私の足りない英語力で大ざっぱに解釈したところによると。
壁画は1000から3000年前にこの辺にいたトゥワ族が描いた、
と言い伝えられている。
単純な自然崇拝が主であった当時、太陽は神様。クロコダイルは命を奪う畏怖の対象。
はしごは木の実を取る時の必需品。

ペイントはラテックスなどの成分を含む粘性の高い植物の樹液を使って描かれている。
それにしてもよく1000年の時を経て残ったものだ。

この壁画を見つけたのは、数百年前に
エチオピアからウガンダ北東部のカラモジャ地方を経由してこの地に入ってきたテソ族の祖先。
テソ族の祖先がここに定住することを決めた一方で、ここに留まらず更に先へ進みケニア方面へ移動していった人々もいる。
テソ族は現在もこの辺りの主要な部族だ。
もちろんガイドのおっちゃんもテソの人。
テソ(Teso)とはgrave=墓=死んだ人、という意味。
ここに留まったことによって、先へ移動した人々からは「死んじゃった」とみなされたらしい。

「でも俺たち今もちゃんと生きてるけどね」


お次、第二のサイト

大きな石壁一面に太陽や船が描かれている。
こちらの絵はみんな赤い。樹液に動物の血を混ぜたらしい。

カヌーと太陽。
「上手な魚の獲り方」の解説図。
湿地の多いこの辺りでは漁業も主な生活手段だったのだろう。

こちらはペタペタと指の跡が。
数のカウント方法を示してある、とか。

ここまで見た感想。
・・・壁画=アート、というよりも、
とりあえず溢れる生活感。

旅や狩猟への祈りや願いが込められている、と「遺跡らしい」説明を受けたが、
この書きっぷりは黒板のようにも見える。
案外必要な情報伝達(説明)のための走り描きのようなものだったんじゃないか、とも思えてくる。
(でも結局、半分以上消えちゃってるからわかんないんだけど・・・)


Nyero Rock外観
Kumiやその北のSoroty周辺にはこんな感じの巨岩の丘がたくさんある。

壁画があってもなくても、巨岩の山は地元の子供たちにとっては遊び場。
外国人が珍しいから、もれなく子供が大声で呼びかけてくる(さて写真のどこにいるでしょう?)。

狩猟採集時代、これらの巨岩やここにあったであろう森の巨木の洞が住居として使われていたと考えられている。
樹液で描かれたから今は風化してしまっただけで、もしかしたら壁画は当時はもっとたくさんあったのかもしれない。
そう考えると、ちょっと楽しい。


で、最後の第3サイトは別の岩にある。
ここのペイントちょっと趣が異なっていた。

大人が四つん這いにならないと入れないようなせまい空間。
そこの天井にたったひとつだけ、文様が描かれていた。


彼らにとって神様であった太陽と月との両方がこの文様にデザインされている、とのこと。
それと説明を聞くまでもなく、祈りの場とその対象であったことを思わせる何かがあった。

現代を生きる我々の感覚でもそう感じるのだから
これを描いたトゥワ人の祖先だけでなく、
見つけたテソ人の祖先も、ここで同じように何かを祈ったかもしれない。


描かれた当時の意図を正確に知る術はないけれども、
当時の人が情報であれ祈りであれ、真剣に何かを伝えようとした感覚を、
壁画は今に伝えるべくして残っているように思えた。



・・・外国人が珍しいからもれなく子供がついてくる。
彼らも遠い昔の人々が描いた絵から何を感じているんだろうか?

10.23.2012

10月20日 Elgon Flyer止まる

私の中で今月は
「帰国前ウガンダ満喫強化月間」につき
週末を利用して東部へお出かけ。

朝に余裕を持ってEntebbeの自宅を出れば、
乗り換えの待ち時間を含めても
夕方3時か4時には今日の宿泊予定地Mbaleへ着く計算。

今回も、首都からは過去何度か乗っていて、
かつ弊社隊員間の評判が比較的良いバス会社「Elgon Flyer」をチョイス。
ウガンダのバスにしては
比較的時間通りに出るし、故障トラブルもあまり聞かない。

昨年、Mbaleからの帰りにちょうどよい時間帯のがなくて別の会社の便に乗ったところ、
途中で見事にバッテリートラブルで車がストップ。
止まった町で技術者を探して呼んできて修理が済むまで、2時間ぐらい足止めを食った経験がある。
やはり隊員間の評判はばかにならない


と、思っていたのだが。


まさかのElgon Flyer途中でストップ。
やっぱりお前もダメな時があるのかElgon Flyer。しょせんはウガンダバスか。

安全運転にしてもスピードが遅いなと思ったら、止まっちゃったよ。
しかも、まだKampalaを出て1時間ぐらいのMabira Forest 前で。
こんな所では中途半端すぎて他の交通機関もつかまりにくい(大体が定員フルで通過していくから)。
Mbaleまでの道のりはまだ200km余残っている。

皆、困る。特に急いでる人は殺気立つ。
ただでさえ言いたい放題のウガンダ人、当然黙っていない。
「バスはなおるの?なおらないの?」
「自分で別の交通機関で行くからお金を払い戻してくれ」
「さっさと我々が移動できるように別のバスを手配してくれ」
と、コンダクターを囲んでまくしたてる。
気持ちはわかるが、
とりあえず彼が解決のために動く時間をつくってあげようよ。

乗客の苦情の合間にコンダクターがあれこれ電話で本社の指示を仰いだ結果
「次便のバスでわが社の専属エンジニアを呼ぶ。
次便の空席に9人が乗れる。
でも今日は余分なバスがないので代わりの車は用意できない。
お金については、自分は持っていないので今すぐここでは払い戻せない」

・・・我々65人で、出発時間が不安定なこの国で次便がここを通るのは早くても2時間後。

コンダクターの言い分は
乗客にとって時間的にも金銭的にも精神的にも何の解決にもなっていない。

日本ならまずカスタマーケアを優先し、
整備不良をわびた上で、移動の足を確保したり、払い戻しの相談に応じるところだろう。

しかし今回は、とにかく自分たちの収入をロスしない方向でことを進めようとする強硬姿勢。
せめて現地の修理屋さんにとりあえず見てもらえば、修理の目途がもっと早く立つだろうに。

今にして思うと前に止まっちゃったバスの対応は、現地のエンジニアを呼んだり、と、早くて良心的だったんだな。


コンダクターが示した唯一のカスタマーケアとは。
「昼で、とにかくみんなお腹が減っているからイライラしている。ソーダでも用意するから、それ飲んでリラックスしよう」

「食い物でごまかすんじゃない!
返金する金がないって言っているのにソーダなんかどうやって用意するんだ!」
誠意のない対応に彼の言葉を誰も信用できなくなっているから、もう非難轟々で火に油。
(そりゃそうだ)


でも、いざソーダ来たら皆飲むし。

どうやらエンジニア(次便)がお金ももって来たようだ。
結局、彼と次便が来た時、バスがストップしてから3時間以上経過していた。

次便の空席はあまりにも少なくて乗れなかった。
ソーダを飲みながら他の乗客と雑談して時間をつぶし、修理の結果を待つ。

ひとりが、
「この会社使うの、今回が最初で最後。信じられない!」
と言うので
「・・・でも、この国でトラブルのないバスなんてないんじゃないか?」
と素直なムズングとしての意見を言ってみたところ
「トラブルは別にいいのよ、いつもの事だから。問題はその後の対応なのよ!」
と皆、口を揃える。

ウガンダ的にはトラブルはあって当たり前らしい。
確かに、今日聞くともなしに聞いていた数々ん苦情に、整備不良をつっこむ内容のものはなかったな。
(日本ならまず一番にそこつっこむよな~事故になりかねないし)



で、小一時間バスを調べていたエンジニア曰く
「あ~ダメだね、このバスKampalaに持って帰って修理しないと」

・・・日頃君は一体何を整備しているんだお抱えエンジニアよ。


修理不能がはっきりしたので、皆その場でお金を払い戻してもらえることになった。

乗客はこの対応で4時間以上をロスしたことになる。
コンダクターは最後まで整備不良についても対応についても謝らなかった。


マタツを乗り継いで、結局Mbaleにたどり着いたのは暗くなる頃。
明日は更に北上する予定。
もう道中で車、故障しませんように。

10.19.2012

10月17日 ローカルネーム


お隣のMupigi県の湿地を見に出張した。

朝もはよから出かけて、
どローカルな船着き場からどローカルな船で湿地を探索。
ハシビロコウを探したりなんぞする。

本日の成果
ハシビロコウを1羽だけ確認。

なんと、
上空を飛んできた。


アナタちゃんと飛べる鳥だったのね・・・。
(「動かない鳥」とは言われていても、「飛べない鳥」なんて誰も言ってないよな、そういえば)

地元の人の話では、少なくとも2個体はいるらしい。


ここと、これまでハシビロコウを見に出かけた湿地とは、
同じビクトリア湖上で、しかも位置関係上は「すぐ隣」なんだけど、今まで見たことなかった鳥も結構観察できた。

こちらの大きなガンもお初。

「うちにいるgooseより大きいなあ。これもうちで展示すべきだよなあ」
と一緒に行ったDavidは言うものの

うちにいるEgyptian Gooseどもは
勝手に入ってきて勝手に居座っているフリーダムなやつら
なので、捕まえて展示しているわけではない(ついでに勝手に繁殖もしている)。

ここはWildlife Education Centerとして、
こちらの大きな種類のガンにもまず自然に来ていただく方向でいくべきかと。


アジサシの群れも近くで観察。
ひとりがびっくりして飛ぶとみんな飛ぶ。
ごめんよ休んでたところ。


で、案内をしてくれた地元のリーダー的ムゼイ(じいちゃん)から、帰りしなに
「お前は名前は持っているのか?」
と、聞かれる。

ここで言う名前、とは
ルガンダ名=ルガンダ語のローカルネームのこと。

特に中央のブガンダ族は、その中でもいくつもの「クラン」(=小部族)に分かれている。
自分のクランの外の人でも、自分の仲間(友達や家族)と認めた人に名前を贈ったりする。
コミュニティベースの活動をしている弊社隊員の多くは、ルガンダ名をもらっている人が多い。
でもうちは政府機関なのでスタッフの出身地はまちまちなので、そんなにローカル色は出ない。
だから私も名前をもらっていない。


「じゃあわしが名前をやろう。
お前はNalukenge(ナルケンゲ)だ。クランはNgeだ。」


初対面なのに勝手にあっさり名づけられる。


クランのNgeは「Black and White Colobus」のことを指す。
白黒の毛のサル。
(参考:こんなサル↑)

各クランの名前は動物や植物の名前を頂いており、それぞれのクランは
自分のクランになっている動植物を大切にするきまり。
もちろん獲って食べたりはしない(できない)。
これは小部族間で資源の取り合いにならないようにする知恵だった、という解釈もある。


う~ん・・・サルより鳥が好きなんだけど。
ハシビロコウのクランとかないのかなあ。
でも鳥だと、
下手に食べる可能性のあるもの(ホロホロチョウとか)だったら罪悪感が生じそう。
サルで無難かも。


ちなみに
ハシビロコウは、ルガンダ語でBulwe。
北部で使われるテソ語ではKikududuclu。

今、野生動物のローカルネームを集める作業をしているのだが。
当たり前のことながらその動物の存在しない(あるいはレアな)地域では、その動物を表す単語が存在しない。
一方で多くの言語で、同じ呼び方をする動物もいる。
また、ある言語では似たような姿かたちの動物をひとからげに表しているのに、別の地域の言葉ではちゃんと個々の種を分けていたりもする。

ローカルネームから、それぞれの地域の自然のみかたやかかわりを想像できるのがおもしろい。

名前をくれたじいちゃん。
お魚はビクトリア湖名産の高級魚「ナイルパーチ」
(Davidがお土産にぶらさげて帰った)

10.10.2012

10月5日 醸してBanana


ウガンダ南部、ルワンダ国境近くの町へちょっとお出かけ。

バナナ大国ウガンダの中でも南西部はその一大産地。
そこでコミュニティーツアーに参加して、
ウガンダの名酒「Warage(ワラジ)」の伝統的な作り方の説明を聞く。

当然のようにWarageの原料はバナナ。
この国はやっぱり酒までバナナ。
(でも日本も主食から酒まで基本は米だし)

Warage自体は、大量生産のやつならフツーに安く売っていてどこでも手に入る。
でも「ローカル地Warage」の作り方ともなると行程が全部手作業なので興味深い。

まずバナナの基本から学ぶ。
米に酒用とかモチ用とかがあるように、
バナナの木にもちゃんと用途に応じ品種がある。
大ざっぱに茎の色で品種がわかるということで説明を受ける。

幹が黒いバナナはマトケ(主食)用。
幹が緑のバナナはふつーに生食用。
んで、
この幹が黒と緑のまだらなのが醸し用。

バナナの花が咲き始めてから実がでかくなるまでに6ヶ月くらいかかる。
で、酒造りは緑のバナナを房でとって、土の下で熟させるところからはじまる。
バナナの葉を敷いていったん火入れして暖かくした穴の中に入れ、バナナの葉で覆って埋める。
気温にもよるけど4、5日ぐらいで大量の完熟酒用バナナのできあり。
(自然に熟させると均一に熟さないし、熟したそばから鳥が食べちゃうそうな)

次はコレからバナナジュースをしぼる。
皮をむいたバナナを、この「バナナボート」にポイポイ入れる。
フレッシュなバナナの葉もちぎってばさばさ入れる。

そして、体力のある男性を二人くらい用意。

足をきれいに洗ってから彼らがこのバナナボートの中に入り、
バナナの上でツイストなどばんばんかけつつ2時間ほど踊る。
(ワインの足踏み行程と一緒ですな)

バナナだけだと踏んでもぐちゃぐちゃにつぶれるだけだが、
葉がミックスされているのでうまいことこすれて圧がかかりジュースが出る。
「一番搾りジュース」を取った後、
残った絞りかすに水を入れてもう一回30分ほど踏んでさらに「2番搾り」もとる。
バナナのうまみを無駄にしない心意気。
結果、
絞られた後のバナナはボロボロでカッテージチーズのようになる。

次はこのバナジューを
いよいよ醸して「バナナワイン」にする。

バナナジュースにミレットという雑穀を加える。
その中の天然酵母がバナジューを醸すらしい。
バナジューの入った容器を火入れした穴に入れて、バナナの葉と土でカバーし、保温。
1週間~10日ぐらいでバナナワインのできあがり。
アルコール度7%。
これも立派な製品だが、保存性はそんなに高くない(せいぜい1か月くらい)。

このバナナワインを蒸留するとBanana Gin=Waragi完成。
ワインの時点で7%ほどのアルコール度数は、2度の蒸留を経て40%まで高くなる。
おおスピリッツ。

・・・とまあ、ほかの酒造りと同様にえらく手間暇かかる。
穴掘りから考えると、全行程終了までに1か月くらいは見ておかないと作れない。
温度管理は火入れ等の工夫をするにせよ、気候に大きく左右される。


説明の後はお楽しみの味見コーナー。
ジュース→ワイン→Warageと全部味見させてくれる。

いざ、ていすちんぐ。

バナナジュース・・・濃厚なバナナ味。バナナ好きにはたまらない甘味と香り。

バナナワイン・・・酸っぱ甘い。ああジュースがワインになったな、という感じ。

お次はいよいよ地Warage。
他の2つはマグカップに入れてくれたが、
コレはさすがにアルコール度数が強いので小さなショットグラスに入れられる。


・・・


あ~、



ちょっと、


いいですわコレ。


正直、大量販売のふつーのWarageは「特に可も不可もないきつい蒸留酒」。
わたくしの家では「みりん」代わりに常備しているものの、
急にお酒が飲みたくなっても手が伸びることはまずない。

しかし、この「地Warage」は。
・・・わたくし某グルメ漫画のようにはうまく説明できなくて申し訳ないんですが、
とにかく理屈ではなく手がのびる。
「スピリッツ」と呼ばれるのにふさわしいクオリティ。

酒はやはり昔ながらの製法で作ってナンボ、ということか。

真昼間からアルコール度数40%にやられ。
ほろ酔いでご機嫌ですっかり気に入ったもので、
まんまと作戦に載せられているとわかりつつも、その場でお土産用に購入。

販売容器は他のお酒の空の瓶の再利用。

そのこと自体はすっかりウガンダに馴染んだわたくしは全然気にしないんだけど。

問題なのはその瓶と蓋との組み合わせが別々のモノからとっていてピタリとあっておらず、
その結果生じる絶妙な隙間から気が付いたら酒が漏れていることだ。

あんなに手間ヒマかけて作ったものが漏れたらもったいでしょーが!おいっ!

こういう大ざっぱさが
「やっぱりウガンダクオリティ」と言わしめる所以ではある。
美味しいのに残念。


ええと、
「飲んでみたい!」と思った皆様。
・・・もし日本まで届かなかったら、
「蓋がアレで全部漏れちゃったの♡」ということでご了承ください。