10.10.2012
10月5日 醸してBanana
ウガンダ南部、ルワンダ国境近くの町へちょっとお出かけ。
バナナ大国ウガンダの中でも南西部はその一大産地。
そこでコミュニティーツアーに参加して、
ウガンダの名酒「Warage(ワラジ)」の伝統的な作り方の説明を聞く。
当然のようにWarageの原料はバナナ。
この国はやっぱり酒までバナナ。
(でも日本も主食から酒まで基本は米だし)
Warage自体は、大量生産のやつならフツーに安く売っていてどこでも手に入る。
でも「ローカル地Warage」の作り方ともなると行程が全部手作業なので興味深い。
まずバナナの基本から学ぶ。
米に酒用とかモチ用とかがあるように、
バナナの木にもちゃんと用途に応じ品種がある。
大ざっぱに茎の色で品種がわかるということで説明を受ける。
幹が黒いバナナはマトケ(主食)用。
幹が緑のバナナはふつーに生食用。
んで、
この幹が黒と緑のまだらなのが醸し用。
バナナの花が咲き始めてから実がでかくなるまでに6ヶ月くらいかかる。
で、酒造りは緑のバナナを房でとって、土の下で熟させるところからはじまる。
バナナの葉を敷いていったん火入れして暖かくした穴の中に入れ、バナナの葉で覆って埋める。
気温にもよるけど4、5日ぐらいで大量の完熟酒用バナナのできあり。
(自然に熟させると均一に熟さないし、熟したそばから鳥が食べちゃうそうな)
次はコレからバナナジュースをしぼる。
皮をむいたバナナを、この「バナナボート」にポイポイ入れる。
フレッシュなバナナの葉もちぎってばさばさ入れる。
そして、体力のある男性を二人くらい用意。
足をきれいに洗ってから彼らがこのバナナボートの中に入り、
バナナの上でツイストなどばんばんかけつつ2時間ほど踊る。
(ワインの足踏み行程と一緒ですな)
バナナだけだと踏んでもぐちゃぐちゃにつぶれるだけだが、
葉がミックスされているのでうまいことこすれて圧がかかりジュースが出る。
「一番搾りジュース」を取った後、
残った絞りかすに水を入れてもう一回30分ほど踏んでさらに「2番搾り」もとる。
バナナのうまみを無駄にしない心意気。
結果、
絞られた後のバナナはボロボロでカッテージチーズのようになる。
次はこのバナジューを
いよいよ醸して「バナナワイン」にする。
バナナジュースにミレットという雑穀を加える。
その中の天然酵母がバナジューを醸すらしい。
バナジューの入った容器を火入れした穴に入れて、バナナの葉と土でカバーし、保温。
1週間~10日ぐらいでバナナワインのできあがり。
アルコール度7%。
これも立派な製品だが、保存性はそんなに高くない(せいぜい1か月くらい)。
このバナナワインを蒸留するとBanana Gin=Waragi完成。
ワインの時点で7%ほどのアルコール度数は、2度の蒸留を経て40%まで高くなる。
おおスピリッツ。
・・・とまあ、ほかの酒造りと同様にえらく手間暇かかる。
穴掘りから考えると、全行程終了までに1か月くらいは見ておかないと作れない。
温度管理は火入れ等の工夫をするにせよ、気候に大きく左右される。
説明の後はお楽しみの味見コーナー。
ジュース→ワイン→Warageと全部味見させてくれる。
いざ、ていすちんぐ。
バナナジュース・・・濃厚なバナナ味。バナナ好きにはたまらない甘味と香り。
バナナワイン・・・酸っぱ甘い。ああジュースがワインになったな、という感じ。
お次はいよいよ地Warage。
他の2つはマグカップに入れてくれたが、
コレはさすがにアルコール度数が強いので小さなショットグラスに入れられる。
・・・
あ~、
ちょっと、
いいですわコレ。
正直、大量販売のふつーのWarageは「特に可も不可もないきつい蒸留酒」。
わたくしの家では「みりん」代わりに常備しているものの、
急にお酒が飲みたくなっても手が伸びることはまずない。
しかし、この「地Warage」は。
・・・わたくし某グルメ漫画のようにはうまく説明できなくて申し訳ないんですが、
とにかく理屈ではなく手がのびる。
「スピリッツ」と呼ばれるのにふさわしいクオリティ。
酒はやはり昔ながらの製法で作ってナンボ、ということか。
真昼間からアルコール度数40%にやられ。
ほろ酔いでご機嫌ですっかり気に入ったもので、
まんまと作戦に載せられているとわかりつつも、その場でお土産用に購入。
販売容器は他のお酒の空の瓶の再利用。
そのこと自体はすっかりウガンダに馴染んだわたくしは全然気にしないんだけど。
問題なのはその瓶と蓋との組み合わせが別々のモノからとっていてピタリとあっておらず、
その結果生じる絶妙な隙間から気が付いたら酒が漏れていることだ。
あんなに手間ヒマかけて作ったものが漏れたらもったいでしょーが!おいっ!
こういう大ざっぱさが
「やっぱりウガンダクオリティ」と言わしめる所以ではある。
美味しいのに残念。
ええと、
「飲んでみたい!」と思った皆様。
・・・もし日本まで届かなかったら、
「蓋がアレで全部漏れちゃったの♡」ということでご了承ください。