土曜日キーパーのジュリアスの結婚式に招待され、伝統的なウガンダのお式を見ることができた。
ジュリアスとお嫁さん
ちょっと長いけれど今回の結婚式の一連の流れをご紹介。
朝。
職場からバスがスタートし、教会などで点々と招待客をひろい花婿側の「meeting place」(たぶんジュリアスの実家か親戚宅)へ。
ここで正装に着替えたり、花嫁の家に渡す贈り物を積み込んだりと準備。
さて、ウガンダの正装は
●女性
民族衣装「ゴメス」。上半身は極端に肩の盛り上がった袖で西洋式のドレスのようだけれど、下半身は巻きスカート式でこれを帯で締める。サイドの布がわざと長く余るようにしてあり、これをひだ状に畳んで帯を締めて垂らすと飾りになる。
●男性:スラックスの上に白いワンピースみたいな民族衣装を着用(ムスリムが着ていそう)、その上にジャケットを着用。
贈り物は
花
野菜や果物やパン
にわとり(生きている)
牛肉脚1本
スーツケースや椅子
などなどなどなど・・・いっぱい(これ、日本以上に結婚に資金がいるのでは?)。
全て整えて会場へ向かう。
会場も今回は普通のちょっと広い民家の庭先(花嫁側の親戚宅?)。
既に花嫁側の招待客が片側に座っている。
我々も並んで入って対面に座る。
この時点でまだ花嫁の姿はない。
花婿も正面じゃなくて奥のほうにゲストと混じって座っている(私の隣に座っていた)。
お互い知らない同士という前提、らしい。
ここから「紹介と交渉」が始まる。
花婿花嫁の両サイド、司会者みたいな交渉人がひとりずついて、マイク持ってDJのように軽やかなトークをかわしながら、この結婚をまとめる「交渉」をしていく。
花嫁サイドの兄弟、姉妹、いとこ、おば達、と、主に一族の女性が交渉人の紹介と交互にあらわれ、花婿側と挨拶を交わす。
彼女たちの着ているのがゴメス。
アフリカ人は明るいはっきりした色がよく似合う。
やりとりはすべてルガンダ語のため、私には空気を読める部分以外は内容がさっぱりわからないのが残念だけど、ときどき笑いが出ているところを見ると、いかに飽きさせずこの長いプロセスを盛り上げていくかが交渉人の腕(舌?)の見せ所なのだろう。
交渉が盛り上がってくるといよいよビッグマム(おばあ)級の登場。
彼女らが「ではおたくの家の中から花婿を選びましょう」という感じで、
歌いながら花婿側の席に入ってきて
花婿を「当てる」。
選ばれた花婿は自分の側の正面席に移り、はじめて花嫁側のゲストに顔を見せる。
ここから今度は花婿側のPR。
花嫁側とちがって、交渉人が彼のバックグラウンドやゲスト(関係者)をひたすら説明する。
(私も「白い同僚もいます」と説明された・・・らしい。周囲の訳によると。)
花嫁サイドが花婿の人となりに納得すると、やっと花嫁登場。
一族の女性たちと一緒に花嫁は踊りながら登場し、真ん中のステージに座る。
ここに花婿側の女性たちが花婿からの贈り物を持って歩み出る。
彼女らが贈り物に込められた誠意を説明しながら花嫁に渡す。
花嫁が贈り物を受けとり、結婚して花婿の一族に入ることを受け入れたら、花婿一族の女性と共に、いよいよ花婿のもとへ。
これで交渉成功。結婚成立となる。
ちょっとした出し物を挟んだあと、花婿側から用意してきた贈り物を花嫁側に渡す。
これは花婿側のゲストみんなで手伝う。
女性はカゴに入ったプレゼントを頭にのせて運ばねばならない(ということで私もやった)。
その後、新郎新婦は一旦ひっこんで、招待客に花嫁側から料理がふるまわれる。
お祝いごとといえば料理。
どんなスペシャルなお祝い料理が出るのかと結構期待していたのだけれど
いつものウガ飯(ただし主食もソースも選択肢が多い)でした。
それから、
お酒はふるまわれない。
テーブルはなくて、まわりの人と話すけど食卓をかこんでゆっくり談笑、という感じではない。日本の披露宴みたいに「食」の時間にはあまり重心をおかないようだ。
食事がおちついたところで、新郎新婦再び登場。
今度はキリスト教に則ったセレモニーを行う。
牧師さんがきて聖書を読み、神様に誓いの言葉を述べて、指輪を交換。
その後ケーキカット。ケーキはデザートとしてふるまわれる。
これがそのウエディングケーキ。
・・・
青いところはお皿ではなく
クリームですデコレーションです。食べられます。
これに限らずこっちのケーキのデコレーションの色彩はどうも食欲が失せる鮮やかさで。
今のところ私の中の「ウガンダの受け入れがたい異文化no.1」である。
挨拶が続き、最後にみんなで神様にお祈りして終了。
じつはこのセレモニー中に新郎新婦に招待客がお祝いを言えるチャンスが全くないので、帰り際にあわただしくジュリアスとお嫁さんにおめでとうとお礼を言う。
・・・という感じで、
式場にいた時間だけで7~8時間はかかったか。
今回は「ブガンダ族の結婚式」ということだったので、また違う部族の出身者だと様式が違うのだろう。
セレモニーや衣装に植民地時代やイスラム教時代のいろいろな流れがミックスされているものの、伝統的に結婚が「家」と「家」のやりとりと関係の中にあるという印象だ。
特に花嫁は花婿側の女性コミュニティの一員となる、ということが示されるあたり、一族の「女性」のつながりの存在感が大きい。
ついでに、花嫁のお色直しは4回(それぐらいが普通とのこと)。
いろんな意味で結婚式は「女性のためのもの」だなあ。
今回は「ウガンダ伝統衣装」というドレスコード指定だったので、私もゴメスを着た。
とにかく朝から晩までかかり、かつ慣れない格好でいなければならなかったので、心身ともに大変にくたびれたものの、伝統文化に触れる機会に恵まれたのはラッキーだった。
(でも飲まず食わずでの拘束時間の長さを考えると、次にお招きを受けたらちょっと考える・・・)
着用したゴメスと、履きなれないヒールで両小指にマメができた足。