9.25.2012
9月18日 チンパンジーとマトリョーシュカとKalinzu Forest
少々さかのぼり6月下旬のこと
「知り会い第3号」が日本からウガンダへやってきた。
しかも
同分野の隊員として。
・・・
この業界確かに狭いが、ここまでピンポイントというのは珍しいを通り越してもう笑うしかない。
***
で、今回はその隊員にくっついてウガンダ西部のKalinzu Forest Reserveへ。
そこは彼女の配属先であるNational Forest Authority(日本の林野庁みたいなとこ 以下NFA)が管轄している森林保護区。
チンパンジーの生息地として知られており、NFAはそれを目玉としたエコツーリズムの振興を謳っている。
一方、京都大学が拠点を置き長期にわたってチンパンジーのリサーチを行っている研究サイトでもある。
今回の滞在ではその京大の調査サイトに色々とお世話になり、チンパンジーのトラッキング調査(追跡)にも同行させていただいた。
朝7時30分。
京大スタッフの方、それから周辺のコミュニティから雇用されている現地リサーチスタッフとともに森へ入る。
いい森だ。
ここは5月にチンパンジーを見に行った行ったQueen Elizabeth National Parkの仲の森とも近い。
しかし、歩き出してすぐ、そことの大きな違いに気づく。
ここには巨大けもの道(ゾウ道&カバ道)がない。
そのかわり、調査位置と方向を把握可能なように100メートルごとにライン状に小径が切ってある。
ある程度小径を進んだ後は、痕跡と声をたよりに道のない森へ分け入って近づいていく。
今は食事に使う木がだいたい決まっているのでどこにいるか見当がつきやすい、という。
ホゥッホウッホウッ
と、チンパンジーの声。
近いなと思ったら、
前方の倒木にムゼイ(老人)が腰かけて指をさしている。
このムゼイはガイドツアー用に先行してチンパンジーを見つける人。調査員が挨拶を交わす。
樹上には黒い影。やや遠くの背後でも樹幹がガサガサ揺れている。
各自双眼鏡を構えて観察開始。
チンパンジーは木の枝先をもいで何かを食べている。
私たちが調査に同行させてもらったチンパンジーのグループは、エコツアーのお客さんに対しても公開している唯一の集団。
お客さんが来たら、調査者は1時間離れて観察ポジションを譲るというルール。
ほどなくしてガイドに伴われたお客さんが到着。
「ここで待機していてください」と我々に指示をして、調査スタッフが他の方向を見に行く。
ガイドグループから見えない藪の中にしゃがんで待機。
ガイドとお客の興奮、ぼそぼそした話し声、チンパンジーが動いている気配なんかが伝わってくる。
スタッフの行った方向から、ガサガサと誰かが登ってくる音がした。
戻ってきた?
・・・いや、黒いぞアレ。
チンパンジーが藪の中をこちらに向かってくる。
私らの手前10mほどで
「あ、人だ」
という感じで目をあげて、方向転換して去っていった。
・・・
「ヒグマにあったらどうするか」ならばともかく、
「チンパンジーにあったらどうするか」なんて聞いてないし。
呆然。
ガイドグループが去った後、戻ってきたスタッフと合流。
再度同じ群れを追いかけて、昼過ぎまで観察を続けた。
見ている私らを向こうもしっかり観察している。
木が本当に立派で20m以上はあるので、樹上にいるかれらを観察していると首がすっかり痛くなる。
さて、本日チンパンジーが食べていたムサンガの木の先端部分。
茶色い豆みたいなのところが実になる。
熟してもっと大きくなったのをチンパンジーは食べているとのこと。
真ん中のとがった部分は、次の「花芽」
「ココをむいたら面白いことになっている」というので、素直にむいてみる。
出るわ出るわ次から次へと実(花)& 新葉セットが現れる。
最後はあまりに小さすぎて物理的に剥きにくくなり、断念。
実(花)と葉が少なくとも7回(7世代)分既に用意されていた。
恐るべし花芽マトリョーシュカ。
・・・しかし、
植物がここまでヤルんだから
この自然とともに暮らしてきたウガンダ人にも、もう少々計画性があってもいいような気がしなくもない。