Part3. No Try, No Wildlife!
アフリカで憧れていた光景のひとつは、湖を覆い尽くす一面のフラミンゴ。
有名なのはケニアやタンザニア。
専門機関(のはず)のうちのスタッフの中にさえ
「No Flamingo in
Uganda」
と言う人もいる中、
QENPには飛来する、という情報を入手。
それをどうして見に行かないでいられようか
ということで、今回のQENPツアーのメイン目的のひとつはフラミンゴだった。
・・・しかし2日目までは空振り。
旅の残り時間がわずかとなった最後の最後に望みをかけ、車は一路、NP外に位置する塩湖へとひた走る―
***
フラミンゴ探しからさかのぼること数時間前、
我々一行は「深い」森の中を彷徨っていた。
お目当てはこの旅のもう一つの大きな目的、野生のチンパンジー 。
奇しくもメインを最終日に詰め込まざるをえなくなってしまったので、
なるべく早くチンパンジーを見て、残った時間をフラミンゴに充てる作戦。
だが
かれこれ1時間以上歩いているのにチンパンジーの気配なし。
たまに申し訳程度に新しい痕跡があるものの、声すらしない。
雨も降りだして全体のテンションがどんどん下降する。
ガイドのペトラは他のレンジャーと携帯で時々連絡をとっている。
調査班から情報を集めてくれているようだ。
・・・この谷底の森で携帯通じるんかい!
カバやゾウが歩いているので、所によっては細い林道レベルの「獣道」ができている。
バキバキメキメキ
ゾウ道の前方の藪から明らかに大型獣と思しき物音。
「・・・ゾウがすぐそこにいる。危ないからここを離れます」
はい、そうしましょう。
・・・ある意味ではヒグマより怖い。
さらに小1時間ほど歩き続けたものの、チンパンジーの気配なし。
ペトラが「終了」と判断し、森から出ることになる。
残念。
皆のカラ元気の中に隠しきれず漂う疲労感。
聞けば、1週間に1回か2回は見られない時があるとのこと。
でも
「別のポイントで他のレンジャーが1頭か2頭見たと言っている。道路からもそんなに遠くないから、そっちの森に入ってみる?」
と、ペトラが提案。
よっしゃ、リトライ!
・・・この判断は半ばヤケではある。
でもこのまま全く見られなかった疲労感と残念感を引きずって帰るのはイマイチだ。
やや蔓延しだした「疲れてもうどっちでもいい感」には、とりあえず気付かなかったフリをして新たな森へと突き進む。
No Try, No Chance
・・・とはいっても
30分全力で歩いても何も出てこないとなれば、いよいよもって心が折れてくる。
戻るべきか。
何でかね、
コトは大体そういうタイミングで起きる。
ペトラが見逃した前方頭上の枝に黒い物体!
チンパンジーだああああ!
20頭ほどの小さな群れで、
特にこちらを警戒する様子もなく樹上で思い思いに過ごしている。
赤ちゃんの姿もある。
足をぶらぶらさせて遊んでいる様子は人間の子供みたいだ。
20分ぐらい観察を楽しんだ後、戻りの足取りは軽かった。
森から出た後はさすがに疲れていた。時間も押している。
チンパンジーは行ったから見られた。
行かなければ確率はゼロから動かない。
色々きつかったが情報をもらい、フラミンゴ探しに向かった。
「最後の賭け」である。
そして―
いました。
NP外の集落にある小さな塩湖の一角を
100羽程度のこぢんまりとした群れがほんのりピンクに染め、
周辺集落から流れる大音量の音楽をものともせずたくましく餌を探している
・・・姿はまあちょっとイメージと違ったものの(写真に音は写らないからいいや) 。
遠目で点のようなフラミンゴでも、見られた喜びはひとしお。
***
チンパンジーは毎日移動する。2日連続で同じ寝床は使わない。
フラミンゴは気候が変動して不安定な今日は状況が複雑でその飛来時期や数の予想はなかなかに難しいらしい。
運にまかせるほかないこともあるが、
少なくとも情報を得ること、足をはこぶ機会を増やすことなど、出会う可能性を高めることはできる。
No Try, No Wildlife
簡単には見られないのがまた野生動物の魅力なんじゃないだろうか。