泊りがけで遊びに来てくれた同期2人を巻き込んでビクトリア湖ツアーに行く。
行き先は、ビクトリア湖のMabamba bay wetland。
ウガンダのラムサール登録湿地のひとつ。
何より首都からアクセスの良い
野生のハシビロコウ観察スポット
のひとつとして知られる。
船は、友達の友達であるヘンリーに頼んで用意してもらった。
細長い平船。でも樹脂製でモーター付き。
穴は開いていないから大丈夫。
小一時間、この船でビクトリア湖の上をのんびり進んでいく。
湿地帯が近づき、パピルスのしげみ、スイレンの仲間が現れ始める。
日本のフィールドで見かけたタヌキモの仲間が水中に見える。
スイレンの葉の上をアフリカレンカクがてけてけ走り回っている。
忍者みたい。
器用。
いよいよ湿地に入り込み、狭い水路を選んで進んでいくと木製の小さな漁船に遭遇。
近くの島の住人だろうか。手漕ぎの木製の小舟で、手で仕掛けのついたテグスを手繰っている。
さらに進んでいくと、他のツアーグループに出会う。
お客は白人で上品そうなシニアの方々。2艘の木製の平船に数名ずつ分かれて乗っている。アウトドア装備で身を固め、何人かはバズーカのようなレンズを備えた大きなカメラを持っている。
一目見てわかる「お金持ちバーダー」。
ガイドは白人ひとりと、ウガンダ人2人がついている。
他にウガンダ人の漕ぎ手が各船に付いている。
モーターなし。
すべてパドルで操船。
上手い。
雰囲気からして、近隣の島の漁師か何かだろう。
ヘンリーがウガンダ人ガイドとあいさつを交わし、
「じゃあ、このガイドたちの船に一緒についていくから」
と言い出した。
・・・他のツアーガイドに便乗するなんていいのかそれは?
後で聞いたところ、ウガンダでの湿地を活用したエコツアーは始まったばかりで、まだ政府機関の認可を受けたエコツアーガイドが十分にいないとのこと。
そのため現地でライセンスを持ったガイドに合流して一緒に動くというパターンは今のところ普通に行われているそうだ。
もちろんその分のお金も払う。
制度やガイドの数以前に、ツアーの頻度やまだ少数であるビジターの数、何よりウガンダ人らしいおおらかさがこういったオープンなやり方を可能にしているのではないだろうか。
でもお客にはちゃんと彼らのやり方を説明しないと、不満の原因となりかねない気はする。
ジョイントされた白人客の心中は実際どうだったのだろう?
前の2艘が湿地の中を指さして、分け入り始める。
声こそ立てないが興奮のオーラが客たちから立ち上っている。
何か大物がいる。
草原の中から灰色の大きな鳥が飛翔!
出た!Shoebill!(ハシビロコウ)
すぐ近くの草原に降り立ったので、先頭の船が向きを変えてトレースを開始。次の船、我々の船も続く。
・・・けっこう近くまで攻めるなあ、という印象ではあるが、ウガンダ人ガイドが鳥の反応を見ながら指示しているので、まあ大丈夫だろう。
全員がハシビロコウの全身が見える位置で停止。
ハシビロコウは1点を凝視して、狩りの最中のようだ。
微動だにしないという定評
がある彼らだが、
こいつはそろそろと歩いて距離をつめたり、首だけ前に伸ばして角度を変えて覗き込んだりと、
思い切り微動している。
そして
翼を開いて一気に飛び込む!
・・・狩り、失敗。
ウガンダ人ガイドに「成功確率は?」と尋ねると
「4回に1回ぐらいかなあ。あまり上手じゃない」とのこと。
・・・Good Luck.
狩り(失敗)を見届けたところででハシビロコウから離れる。観察していたのは10分ぐらい。ストレスをかけすぎないようガイドが配慮しているのがわかった。
その後も少し他の鳥を探す彼らのボートについていく。まだまだ色々な鳥が観察できるようだ。
ひと段落したら休憩がてらウガンダ人ガイドがこの湿地についてやハシビロコウほか生息地について話してくれるとのことだった。
これは是非聞きたかった。
のだが。
時間はまだあったけれど、その前に私たちは引き返すことに決め、ヘンリーにその旨を伝えた。
彼らガイドの船にそのままついて行くには、こちらの船にはちょっと問題があると感じたからだ。
我々の船にはモーターがついている。
操船を若いお兄ちゃんがやってくれていたのだけれど、彼は素人目から見ても漕ぐのが下手で、漕ぎでうまく進めないからすぐにモーターに頼りたがり、その回転数も高めに保ちたがる。
ヘンリーは状況によって手漕ぎか、モーターか、その都度指示を出すのだけれど、これに的確に対応できていない。
音への配慮が不可欠な状況で、コントロールできないのはちょっとまずい。
前の2艘の(高いお金をツアーのため払っているであろう)白人客らに対しても、こちらこれ以上「騒音」と共についていくのは申し訳ない気がしてしまった。
これからこういうエコツアーをもっと手掛けていきたいというヘンリーの為にも、そのことは連れて行ってくれた感謝と共に正直に伝えた。
結果的に昼ごろ本土に戻ることができたので、ゆっくりお昼を食べる。
船遊びの時間配分としてもちょうど良かった。楽しかった。
ライセンスガイドの説明はもっと聞いてみたいので、また時期を変えて行ってみようと思う。
「ところで・・・あんなに白人がお目当てにしてツアーに来るほど、ハシビロコウって何がすごいの?」
という質問を一緒に行ったシニアの方からうける。
一応生態や希少性など知る限りの説明をする。
「そうか(納得)。
・・・でも地味だね。」
やっぱり地味です。
好きだけど。