「7時30分には出発」
と言っていたのに、ピックアップが8時になっても来ない。
電話する。
置いて行かれたわけではないらしい。
今回はUWA(Uganda Wildlife Authority)のレンジャーらと共に行動している。
フィールドワーカーである彼らはけっこうテキパキ動くので、こちらスタッフのアフリカンタイム気味な動きにはちょっと苦笑いの様子。
そっちの畑に近い自分もなんとなくこの点は分かり合えるのでレンジャーと一緒に苦笑い。
・・・早く行こうよ鳥弱るからさ。
人間は待てる。でも
動物は我々を待たない。いろんな意味で。
パロットをいきなり野に放すわけではない。
リリースする森の入り口に設けた仮ケージで2週間ほど環境に慣らしたあとで、森に返す。
今日はその仮ケージのあるレンジャーステーションを目指しひたすら林道を進む。
周りは巨木が残る深い森。
チンパンジーと「遭遇」できはしまいかと期待しつつ窓を眺める。
途中、荷が緩んだので草地で車を降りて体制をなおす。
草地が、臭い。
最近キーパーワークで嗅ぎ慣れてきた
草食獣の糞の臭い。
「ゾウがうろうろしているから車のまわりからは離れないで。危ないから」
レンジャーら曰く、ゾウの数は結構多く、
たびたびレンジャーはゾウに仕事を「邪魔」されたり危ない目にあうとか。
ゾウにもチンパンジーにも遭遇せず(ちっ)、無事にレンジャーステーションへ到着。
森の中にパロットたちが入る予定の仮ゲージが見える。
仮ケージのチェック後、Drらからレンジャーたちへ世話の仕方についてブリーフィング。
そしていよいよパロットを放すため、運搬ケージを中へ持ち込み蓋をオープン。
・・・なかなか出てこない。
警戒している。
ちょっと反対側から追ってやると少しずつ出てくるようになる。
何羽か出ると、安心するのか自ら出てくる個体もではじめる。
箱によっては1羽も出てこない。
蓋の反対側に固まって怖がっている。
・・・君たちの気持ちはもっともだ。
でも出て。
最後はちょっと強引に出す。
出しながら、鳥の状態もチェックする。
運搬の途中で翼を傷めてしまった個体も残念ながらいたので、センターに戻して治療する。
箱から出されたあとも、警戒して人の出入りする戸口側には絶対寄りつこうとしない。
でもおなかは減っているのか、奥のほうのエサ台から食べ始める。
パッションフルーツ、サトウキビ、トウモロコシなどなど・・・
この仮ケージから放鳥後もしばらくエサは用意して与え、徐々に分散して森の恵みのみで生活していくよう促すそうだ。
食べて落ち着くと、おしゃべりを始める。
200羽によるおしゃべりはとてもにぎやか。
その声に誘われて、森の中から「野生」のパロットが現れる。
ご挨拶?
いや偵察に来たか。
長かったね6か月。
そしてこの2日。
もう少しだよ。