ウガンダ北部グル地方。
LRAの影響で比較的最近まで混乱が残っていた地域である。
弊社の安全基準では
「お仕事なら条件付きOKだけど個人で遊びに行っちゃダメ」
とお達しが出ている地域。
だから、出張のお誘いなんかがかかった日には
そりゃ行きますとも、ええ。
11月に訪れたMurchison FallsNational Parkの更に上流側を渡って北部へ入る。
公園外だけど草原と森が直線道路の両側に続く。
裏Murchison Falls。
時々草原からにょこにょこと
キリンの首がのぞいたりしているので油断ならない。
宿泊した北部の拠点都市グルはそれなりの規模があったものの、
それ以外のコミュニティは至ってのどかで、お家もほぼ純ローカル仕様の藁葺きBanda。
お仕事会場はそんなコミュニティ内にある1952年創立の古~い小学校。
ここに近隣の先生を集めてワークショップ(WS)を開催した。
今回のWSは、配属先が5年ぐらい外からファンドをとって続けている
北部地域を対象とした野生動物保全のための普及啓発活動「Rhino Program」の一環。
ウガンダではサイが絶滅して久しく、現在はケニアからもらってきたシロサイを飼育下で増やしているところ。将来的に野生下へ再導入する計画がある。
最後までシロサイが生き残っていたのがMurchison Falls周辺なので、導入もこの地域からスタートさせる構想。
但し、
増えたシロサイをいざ放したところで「肉だ~」「角だ~」と獲られちゃったら全く意味がない。
そんなことが起きないよう、若い世代を中心に地域の人々を教育するという目的の下、「Rhino Program」では
1)現地で先生を対象とWSの開催
2)子供を20人ぐらい選んでうちの配属先へ連れてきてのキャンププログラムの実施、
という、2段構えの普及啓発を実施している。
私のメイン担当は何かと言うと、グループディスカッションに入る前にちょっとゲームアクティビティを紹介すること。
ボランティア相手にこの手の技術のワークショップをやっていたのが一応評価されたようでして。
本日はポピュラーながらディスカッションの導入になりそうなゲームをチョイス。
動物とか環境とかが描かれているカードを用意し、参加者それぞれに持ってもらって、お互いのカードの関係をどんどんを糸でつないで生態系のネットワークを可視化していく。
もちろんカードの中には「シロサイ」と「人間」が含まれております。
「大の大人」でも皆がのりのりでやってくれるのが助かる。ウガンダ人のいいところだ。
私が質問しながら、糸玉を持って人と糸の間をぐるぐる動きまわって関係をつないでいく。
いや100mの糸ってけっこう長いわ。
ウガンダバージョンのカードを作っていての懸案は、
どうしても「でかい動物」に偏りがちで生態系のバランス的にどうよ、
という感じなってしまったことだった。
でも今回は先生方が見事に
評判もなかなかよかったみたいだ。
ゲームで生態系のつながりを再認識して頂いたところで、4つのテーマに分かれてグループディスカッション。
皆さんが書いている間暇なので、子供を撮影して遊ぶ。
平日だから生徒も普通に授業を受けに来ている。
これ、人を指さすもんじゃありません、たとえ文化がちがったって。
それでは、テーマごとに先生方の回答を抜粋
(()内の私のコメントはオプションとしてお楽しみください)
Q1 この地域が直面している環境問題は?
A) プラスチックとかのゴミ処理システムがない(燃やすなって法律はあるのにそれに代わる処理システムがないこの矛盾よ)
A) 野生動物の被害(特にゾウとかばバブーンはよく聞きますな)
A)雷多すぎ(へ~)
Q2 この地域から「サイ」はどうして絶滅したのか
A) 密猟(うん)
A) 政情不安定(これも大きいね)
A) 草や水を求めて移動した(気候変動とか環境破壊の影響もあるよなあ。動物に国境はないし)
Q3 この地域にとって「サイ」はどう特別なのか
A) ある部族のトーテム(何族か聞き忘れた)
A) 国の誇り(おお!)
A) 根拠がないのに薬効を信じている輩もいる(漢方薬のことね多分)
Q4 この地域への「サイ」の再導入を成功させるための提案は?
A) エコツーリズムセンターを作る(誰が?)
A) 教育を推進する(アンタらも推進する側なのだよん)
A) 各村がボランティアを出して保護活動をする(・・・)
回答も興味深かったけれど、
もっとすごいなと思ったのは進行役を務めた現地コーディネーターの先生が
「自分がまずできることと、自分が人と一緒にできることを常に問いかけていこう」
と、ちゃんとまとめていたこと。
来週は、参加した先生の中から3名が子供たちを連れてキャンプに来る。
帰路、飼育課長オピオが車窓から覗く光景を見ながら色々教えてくれた。
彼はこの地方出身だ。
棘のある樹種はゾウ除けに植えているものだとか。
グループで動物が近くに来ていないかパトロールしているところだとか。
野生動物が多い分、関係も色々大変で密なのだろう。
色々試しながらこの国とこの地方にあった共存の方法が見つかっていくのだと思う。
で、その後車は「お土産」の仕入れモードに突入
帰路上のあちこちのトレーディングセンター(市場)で停車し、
オピオが現地語で値段交渉してエンコッコ(鶏)やら炭やら安く買いたたいていく。
荷台に放り込まれていくエンコッコ―ず。
公務でやるなよおいおい(駅でお菓子買って帰るのとはワケが違うんだから)っていうのはともかく、
地方のほうが安くいいものが手に入る理屈は日本と同じ。
やっぱりいろんな面で
地方のが好きみたいだわ、私。
ここでも。