10.23.2012

10月20日 Elgon Flyer止まる

私の中で今月は
「帰国前ウガンダ満喫強化月間」につき
週末を利用して東部へお出かけ。

朝に余裕を持ってEntebbeの自宅を出れば、
乗り換えの待ち時間を含めても
夕方3時か4時には今日の宿泊予定地Mbaleへ着く計算。

今回も、首都からは過去何度か乗っていて、
かつ弊社隊員間の評判が比較的良いバス会社「Elgon Flyer」をチョイス。
ウガンダのバスにしては
比較的時間通りに出るし、故障トラブルもあまり聞かない。

昨年、Mbaleからの帰りにちょうどよい時間帯のがなくて別の会社の便に乗ったところ、
途中で見事にバッテリートラブルで車がストップ。
止まった町で技術者を探して呼んできて修理が済むまで、2時間ぐらい足止めを食った経験がある。
やはり隊員間の評判はばかにならない


と、思っていたのだが。


まさかのElgon Flyer途中でストップ。
やっぱりお前もダメな時があるのかElgon Flyer。しょせんはウガンダバスか。

安全運転にしてもスピードが遅いなと思ったら、止まっちゃったよ。
しかも、まだKampalaを出て1時間ぐらいのMabira Forest 前で。
こんな所では中途半端すぎて他の交通機関もつかまりにくい(大体が定員フルで通過していくから)。
Mbaleまでの道のりはまだ200km余残っている。

皆、困る。特に急いでる人は殺気立つ。
ただでさえ言いたい放題のウガンダ人、当然黙っていない。
「バスはなおるの?なおらないの?」
「自分で別の交通機関で行くからお金を払い戻してくれ」
「さっさと我々が移動できるように別のバスを手配してくれ」
と、コンダクターを囲んでまくしたてる。
気持ちはわかるが、
とりあえず彼が解決のために動く時間をつくってあげようよ。

乗客の苦情の合間にコンダクターがあれこれ電話で本社の指示を仰いだ結果
「次便のバスでわが社の専属エンジニアを呼ぶ。
次便の空席に9人が乗れる。
でも今日は余分なバスがないので代わりの車は用意できない。
お金については、自分は持っていないので今すぐここでは払い戻せない」

・・・我々65人で、出発時間が不安定なこの国で次便がここを通るのは早くても2時間後。

コンダクターの言い分は
乗客にとって時間的にも金銭的にも精神的にも何の解決にもなっていない。

日本ならまずカスタマーケアを優先し、
整備不良をわびた上で、移動の足を確保したり、払い戻しの相談に応じるところだろう。

しかし今回は、とにかく自分たちの収入をロスしない方向でことを進めようとする強硬姿勢。
せめて現地の修理屋さんにとりあえず見てもらえば、修理の目途がもっと早く立つだろうに。

今にして思うと前に止まっちゃったバスの対応は、現地のエンジニアを呼んだり、と、早くて良心的だったんだな。


コンダクターが示した唯一のカスタマーケアとは。
「昼で、とにかくみんなお腹が減っているからイライラしている。ソーダでも用意するから、それ飲んでリラックスしよう」

「食い物でごまかすんじゃない!
返金する金がないって言っているのにソーダなんかどうやって用意するんだ!」
誠意のない対応に彼の言葉を誰も信用できなくなっているから、もう非難轟々で火に油。
(そりゃそうだ)


でも、いざソーダ来たら皆飲むし。

どうやらエンジニア(次便)がお金ももって来たようだ。
結局、彼と次便が来た時、バスがストップしてから3時間以上経過していた。

次便の空席はあまりにも少なくて乗れなかった。
ソーダを飲みながら他の乗客と雑談して時間をつぶし、修理の結果を待つ。

ひとりが、
「この会社使うの、今回が最初で最後。信じられない!」
と言うので
「・・・でも、この国でトラブルのないバスなんてないんじゃないか?」
と素直なムズングとしての意見を言ってみたところ
「トラブルは別にいいのよ、いつもの事だから。問題はその後の対応なのよ!」
と皆、口を揃える。

ウガンダ的にはトラブルはあって当たり前らしい。
確かに、今日聞くともなしに聞いていた数々ん苦情に、整備不良をつっこむ内容のものはなかったな。
(日本ならまず一番にそこつっこむよな~事故になりかねないし)



で、小一時間バスを調べていたエンジニア曰く
「あ~ダメだね、このバスKampalaに持って帰って修理しないと」

・・・日頃君は一体何を整備しているんだお抱えエンジニアよ。


修理不能がはっきりしたので、皆その場でお金を払い戻してもらえることになった。

乗客はこの対応で4時間以上をロスしたことになる。
コンダクターは最後まで整備不良についても対応についても謝らなかった。


マタツを乗り継いで、結局Mbaleにたどり着いたのは暗くなる頃。
明日は更に北上する予定。
もう道中で車、故障しませんように。

10.19.2012

10月17日 ローカルネーム


お隣のMupigi県の湿地を見に出張した。

朝もはよから出かけて、
どローカルな船着き場からどローカルな船で湿地を探索。
ハシビロコウを探したりなんぞする。

本日の成果
ハシビロコウを1羽だけ確認。

なんと、
上空を飛んできた。


アナタちゃんと飛べる鳥だったのね・・・。
(「動かない鳥」とは言われていても、「飛べない鳥」なんて誰も言ってないよな、そういえば)

地元の人の話では、少なくとも2個体はいるらしい。


ここと、これまでハシビロコウを見に出かけた湿地とは、
同じビクトリア湖上で、しかも位置関係上は「すぐ隣」なんだけど、今まで見たことなかった鳥も結構観察できた。

こちらの大きなガンもお初。

「うちにいるgooseより大きいなあ。これもうちで展示すべきだよなあ」
と一緒に行ったDavidは言うものの

うちにいるEgyptian Gooseどもは
勝手に入ってきて勝手に居座っているフリーダムなやつら
なので、捕まえて展示しているわけではない(ついでに勝手に繁殖もしている)。

ここはWildlife Education Centerとして、
こちらの大きな種類のガンにもまず自然に来ていただく方向でいくべきかと。


アジサシの群れも近くで観察。
ひとりがびっくりして飛ぶとみんな飛ぶ。
ごめんよ休んでたところ。


で、案内をしてくれた地元のリーダー的ムゼイ(じいちゃん)から、帰りしなに
「お前は名前は持っているのか?」
と、聞かれる。

ここで言う名前、とは
ルガンダ名=ルガンダ語のローカルネームのこと。

特に中央のブガンダ族は、その中でもいくつもの「クラン」(=小部族)に分かれている。
自分のクランの外の人でも、自分の仲間(友達や家族)と認めた人に名前を贈ったりする。
コミュニティベースの活動をしている弊社隊員の多くは、ルガンダ名をもらっている人が多い。
でもうちは政府機関なのでスタッフの出身地はまちまちなので、そんなにローカル色は出ない。
だから私も名前をもらっていない。


「じゃあわしが名前をやろう。
お前はNalukenge(ナルケンゲ)だ。クランはNgeだ。」


初対面なのに勝手にあっさり名づけられる。


クランのNgeは「Black and White Colobus」のことを指す。
白黒の毛のサル。
(参考:こんなサル↑)

各クランの名前は動物や植物の名前を頂いており、それぞれのクランは
自分のクランになっている動植物を大切にするきまり。
もちろん獲って食べたりはしない(できない)。
これは小部族間で資源の取り合いにならないようにする知恵だった、という解釈もある。


う~ん・・・サルより鳥が好きなんだけど。
ハシビロコウのクランとかないのかなあ。
でも鳥だと、
下手に食べる可能性のあるもの(ホロホロチョウとか)だったら罪悪感が生じそう。
サルで無難かも。


ちなみに
ハシビロコウは、ルガンダ語でBulwe。
北部で使われるテソ語ではKikududuclu。

今、野生動物のローカルネームを集める作業をしているのだが。
当たり前のことながらその動物の存在しない(あるいはレアな)地域では、その動物を表す単語が存在しない。
一方で多くの言語で、同じ呼び方をする動物もいる。
また、ある言語では似たような姿かたちの動物をひとからげに表しているのに、別の地域の言葉ではちゃんと個々の種を分けていたりもする。

ローカルネームから、それぞれの地域の自然のみかたやかかわりを想像できるのがおもしろい。

名前をくれたじいちゃん。
お魚はビクトリア湖名産の高級魚「ナイルパーチ」
(Davidがお土産にぶらさげて帰った)

10.10.2012

10月5日 醸してBanana


ウガンダ南部、ルワンダ国境近くの町へちょっとお出かけ。

バナナ大国ウガンダの中でも南西部はその一大産地。
そこでコミュニティーツアーに参加して、
ウガンダの名酒「Warage(ワラジ)」の伝統的な作り方の説明を聞く。

当然のようにWarageの原料はバナナ。
この国はやっぱり酒までバナナ。
(でも日本も主食から酒まで基本は米だし)

Warage自体は、大量生産のやつならフツーに安く売っていてどこでも手に入る。
でも「ローカル地Warage」の作り方ともなると行程が全部手作業なので興味深い。

まずバナナの基本から学ぶ。
米に酒用とかモチ用とかがあるように、
バナナの木にもちゃんと用途に応じ品種がある。
大ざっぱに茎の色で品種がわかるということで説明を受ける。

幹が黒いバナナはマトケ(主食)用。
幹が緑のバナナはふつーに生食用。
んで、
この幹が黒と緑のまだらなのが醸し用。

バナナの花が咲き始めてから実がでかくなるまでに6ヶ月くらいかかる。
で、酒造りは緑のバナナを房でとって、土の下で熟させるところからはじまる。
バナナの葉を敷いていったん火入れして暖かくした穴の中に入れ、バナナの葉で覆って埋める。
気温にもよるけど4、5日ぐらいで大量の完熟酒用バナナのできあり。
(自然に熟させると均一に熟さないし、熟したそばから鳥が食べちゃうそうな)

次はコレからバナナジュースをしぼる。
皮をむいたバナナを、この「バナナボート」にポイポイ入れる。
フレッシュなバナナの葉もちぎってばさばさ入れる。

そして、体力のある男性を二人くらい用意。

足をきれいに洗ってから彼らがこのバナナボートの中に入り、
バナナの上でツイストなどばんばんかけつつ2時間ほど踊る。
(ワインの足踏み行程と一緒ですな)

バナナだけだと踏んでもぐちゃぐちゃにつぶれるだけだが、
葉がミックスされているのでうまいことこすれて圧がかかりジュースが出る。
「一番搾りジュース」を取った後、
残った絞りかすに水を入れてもう一回30分ほど踏んでさらに「2番搾り」もとる。
バナナのうまみを無駄にしない心意気。
結果、
絞られた後のバナナはボロボロでカッテージチーズのようになる。

次はこのバナジューを
いよいよ醸して「バナナワイン」にする。

バナナジュースにミレットという雑穀を加える。
その中の天然酵母がバナジューを醸すらしい。
バナジューの入った容器を火入れした穴に入れて、バナナの葉と土でカバーし、保温。
1週間~10日ぐらいでバナナワインのできあがり。
アルコール度7%。
これも立派な製品だが、保存性はそんなに高くない(せいぜい1か月くらい)。

このバナナワインを蒸留するとBanana Gin=Waragi完成。
ワインの時点で7%ほどのアルコール度数は、2度の蒸留を経て40%まで高くなる。
おおスピリッツ。

・・・とまあ、ほかの酒造りと同様にえらく手間暇かかる。
穴掘りから考えると、全行程終了までに1か月くらいは見ておかないと作れない。
温度管理は火入れ等の工夫をするにせよ、気候に大きく左右される。


説明の後はお楽しみの味見コーナー。
ジュース→ワイン→Warageと全部味見させてくれる。

いざ、ていすちんぐ。

バナナジュース・・・濃厚なバナナ味。バナナ好きにはたまらない甘味と香り。

バナナワイン・・・酸っぱ甘い。ああジュースがワインになったな、という感じ。

お次はいよいよ地Warage。
他の2つはマグカップに入れてくれたが、
コレはさすがにアルコール度数が強いので小さなショットグラスに入れられる。


・・・


あ~、



ちょっと、


いいですわコレ。


正直、大量販売のふつーのWarageは「特に可も不可もないきつい蒸留酒」。
わたくしの家では「みりん」代わりに常備しているものの、
急にお酒が飲みたくなっても手が伸びることはまずない。

しかし、この「地Warage」は。
・・・わたくし某グルメ漫画のようにはうまく説明できなくて申し訳ないんですが、
とにかく理屈ではなく手がのびる。
「スピリッツ」と呼ばれるのにふさわしいクオリティ。

酒はやはり昔ながらの製法で作ってナンボ、ということか。

真昼間からアルコール度数40%にやられ。
ほろ酔いでご機嫌ですっかり気に入ったもので、
まんまと作戦に載せられているとわかりつつも、その場でお土産用に購入。

販売容器は他のお酒の空の瓶の再利用。

そのこと自体はすっかりウガンダに馴染んだわたくしは全然気にしないんだけど。

問題なのはその瓶と蓋との組み合わせが別々のモノからとっていてピタリとあっておらず、
その結果生じる絶妙な隙間から気が付いたら酒が漏れていることだ。

あんなに手間ヒマかけて作ったものが漏れたらもったいでしょーが!おいっ!

こういう大ざっぱさが
「やっぱりウガンダクオリティ」と言わしめる所以ではある。
美味しいのに残念。


ええと、
「飲んでみたい!」と思った皆様。
・・・もし日本まで届かなかったら、
「蓋がアレで全部漏れちゃったの♡」ということでご了承ください。